こんにちは、けんとんです。
2020年7月24日現在、株価が1,900円台となり暴落が下げ止まらないJT株。
株価下落により配当利回りが8%に達したこともあり、投資家界隈では
という意見が飛び交っています。
一方で、
という声も多数見受けられたり。
結論から言って、僕自身は現段階でJTの高配当を過信して多量に買い向かうのは相当リスクが高いのではないかと考えています。
ふだん、日本株も個別銘柄も買わない為、あえて言及もしない僕ですが、だからこその客観的な目線で今回はJTの株価・利回りについてできるだけ丁寧に記事にしました。
最後までお読みくだされば幸いです。
株価暴落による高配当化
先に記述したとおり、僕個人としては現段階でのJT株の購入はあまりオススメしません。
まず長期チャートを見てみましょう。
※グーグルファイナンスより
2020年7月22日の終値で1,910円まで株価が下がっています。
この株価は2012年1月の水準。
これにより、配当利回りはグングン上がって、現状8%超えに達しました。
今年の1月時点では株価2,300円台、配当利回り6%台で、これでも十分に高配当と呼べる銘柄だったものの、現状はその比ではない程に高配当化が進んでいますね。
今、JT株を買い向かう人々の心理
もともと高配当銘柄として人気の高いJT株ですが、買い向かう派の投資家の熱量が異常に高くなってきている雰囲気があります。
その言葉の根本には、これだけ高配当化したのだし10年・20年と持ち続ければ配当だけで買い付け価格=元を取れる、という心理が働いているのかと。
確かに、利回り8%を維持できれば、再投資による複利を考えたりせずとも単純計算で12.5年で元を取れる計算になります。
仮に5%まで減配しても20年ホールド出来ればOKということにも。
✓100(%)÷(5%)=20.0(年)
こうして見ると、確かに今JT株を買うことは大きなチャンスにも思えますね。
JTが今後減配する(しない)可能性は?
次にJTの配当性向を見てみましょう。
※JTホームページ「配当情報」より
連結配当性向ですから、グループ・子会社含めた連結決算から算出された数字となります。
配当性向は利益に対しての配当金支払いの占める割合。
2019年度のJTの配当性向は78.6%、そして2020年の予測値は89.6%。
一見すれば、
と見ることももちろんできますが、一方でそれは会社が資産の蓄えへ回す金額が少なくなることでもあります。
JTはすでに90%に迫る配当性向なので、仮に利益が下がってしまった時に同額の配当を維持するには最悪は配当性向が100%以上=赤字でも配当を出すという決断を強いられることになりかねません。
あるいは減配するか。
そこで、先の配当情報でもうひとつ注目して欲しいのが、1株当たりの年間配当金です。
2019年が154円、2020年も現段階でJTが出しているあくまで予想値ですが154円と横ばい。
2005年からの連続増配が16期でストップするということです。
あくまで横ばいであり、かうじて今期は減配ではないですが、このところの株価の下がり具合にプラスして、近年ではたばこを吸わない人の比率が多くなっているという傾向を見ても、次期・次々期、さらに長期で見た時に減配する可能性がかなり高いのでは・・・と僕は考えてしまいます。
それでもJTを長期で持ち続けられるか
話を戻しますが、今のタイミングでJT株を買い向かう人は以下のことに注意してみる必要があると思います。
✓どこまで利回りが下がることを想定できているか
✓10年・20年後のポートフォリオでのJTの割合やポジジョンが適切か
自身が購入した後も株価下落が続いても耐えらえるか
これは意外にシビアな問題だと思います。
確かに、これまでと比べれば割安な株価かもしれませんが、では自分が購入した後にもズルズルと暴落が続いた場合、今思う
という思いでいられるでしょうか?
仮の話ですが、1ケ月後に1,800円になり、2か月後に1,700円になり、3ケ月後に1,500円になり・・・となったとしてもです。
どこまで配当利回りが下がることを想定できているか
株価が下げ止まったとしても、先に述べたように「たばこ」という特性の商品が生み出せる利益を考えてみたことはあるでしょうか?
確かに、世界的に見れば日本ほど急速に禁煙化・分煙化が進んでいる国ばかりでないことは一考の余地あり。
ですが、ITやテクノロジーと比べ、「今後も伸びていく可能性が高い市場」として考えにくいと僕個人は思っています。
それに伴う減配で配当利回りが6%になり、あるいは5%になった場合のことまで想定できているのであれば良いです。
忘れてはいけないのは、現在の配当利回りが年初や昨年と比べて高くなっているのは株価が下がっていることによってもたらされている副産物のようなもので、増配による恩恵ではないということですね。
10年・20年後のポートフォリオでのJTの割合やポジジョンが適切か
そんな風に言える投資家の中で、同時に
とまで言い切れる人はどの程度いるでしょうか?
おそらくは1割にも満たないのではないかと。
今現時点でも、「1,800円まで待とうかなぁ」とか、「配当利回りが凄く高くなったから買おうかなぁ」と悩んでいる人は多くいると思います。
投資とは得てしてその傾向が多くあるものですが、そういった短期的な思考で購入に走った人が、この先10年・20年と株を持ち続けることが前提での配当金を想定して「回収できる」とか「元を取れる」とかいうのはちょっと危険かもしれませんね。
現在30歳の人なら、20年後は50歳。
この時の自分のポートフォリオ内でのJTという個別銘柄の割合・立ち位置を想定して、それでも大丈夫と言えるのならば、もちろん「買い」で良いと感じます。
前述してきたように、株価が下がろうと売らず、減配しても持ち続けること、あるいはその逆で、株価がどこまでさがったら/配当金がいくら以下になったら適切に売ることができるのであれば。
そして当初想定していた年数よりも早めに手放すことになった場合、多くは含み損を抱えての損切りになってしまう可能性が高い状況であることも理解しておきたいですね。
JTの基本情報
最後に、JTの基本情報をお伝えしておきます。
コード :2914(東証1部)
セクター :生活必需品
単元株数 :100株
株価 :1,910円
配当利回り:8.06%
※2020年7月24日時点
たばこを吸わない人にとってはピンときませんよね・・・?
僕にとってはたばこが生活不必需品なので、全然ピンときません(笑)
もう少し情報領域を広げてみましょう。
JT自体が社名の通りたばこ事業を中心としているのは説明するまでもないことですが、過去には清涼飲料水の「桃の天然水」や缶コーヒーの「ルーツ」なども手掛けていたこともあるようです。
ですが、現段階では飲料事業からは撤退。
意外なところと言えば、カップ麺のホームラン軒を出している「テーブルマーク」や家庭用冷凍食品で有名な「ケイエス冷凍食品」がグループ会社として名を連ねます。
グループ会社の商品が株主優待として年に1度もらえるので、「たばこ」のイメージと直結せずに驚く方もいらっしゃると思います。
グループ会社を含めてみれば、たばこに限定された事業展開だけではなく、それなりに分散されているように見えないこともないという感じ。
まとめ
米国ETF投資をメインとしており、日本株も個別銘柄についてもあまり考える機会のない僕なのですが、時々はこうして調べて学ぶことも楽しいですね。
総じて言えるのは、今の僕がそうであるように
に流されて、本来とは別の思考で今、急に買いに走ることは間違いなくオススメできないということです。
✔本来の自分の投資指標に沿っての購入タイミングなのか
✔将来も見据えて様々な想定をできているのか
このような部分を自分の中でしっかりと確かめ決めた上での投資がやはり基本だな、ということです。
JTに限ったことではないですが、ETFとちがって銘柄分散も自分で行う必要があり、そして購入するにしても100単元株~という日本の個別銘柄であるからこそ、なおのこと。
※どうしても少数で買いたい人の場合【SBIネオモバイル証券】 を活用すれば1株からも可能なので一考の余地ありではあります。最終的には自分の投資スタイルをしっかりと持ち、市場や相場と向き合うことが大切ですし、なによりそれが一番楽しいですよね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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毎月のように自分自身の配当(分配金)報告もしていますのでご参考にしていただけると幸いです。
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